前述したとおり、足汗と雑菌の相乗効果で、嫌な臭いが発生することが分かった。
ここでは、雑菌と足の臭いについて、もう少し掘り下げてみたい。
足の臭いの原因は、エクリン腺とアポクリン腺から分泌される汗や、足の皮脂、皮膚や爪の間の汚れなどをエサにし、大量繁殖した雑菌やバクテリアの出す排泄物の腐敗臭なのだ。
特に臭いの原因となる雑菌は、「白癬菌(はくせんきん)」と呼ばれる細菌である。白癬菌に感染すると、水虫を発症することが多い。白癬菌は、人間や動物ののを住処とする・の一種である。この菌は、角質の成分であるというたんぱく質を栄養源にしているため、人間の垢が落ちるほとんどの場所に生息しているのだ。
しかし、白癬菌や雑菌、バクテリアは、どこででも繁殖するというわけではない。
白癬菌、バクテリアが繁殖するためには、温度や湿度など、一定の条件が必要だ。
白癬菌などの雑菌は湿った場所を好み、「湿度70%以上・温度15℃以上」になると活発に増殖する。この状態で皮膚に白癬菌が付着すると、急速に増殖し、角質層へと侵入して、やがてさまざまな水虫の症状として現れてくるのだ。
特に、靴を履いている足の指の間は、湿度95%以上、温度は32℃以上にもなるといわれているので、白癬菌が繁殖するには好都合なため、水虫の原因となる。
つまり、白癬菌などの雑菌にとって、密閉された靴の中は、まるで天国のような環境なのだ。長時間革靴を履くことが多く会社員、湿気の多いところで長靴などを長時間履く仕事をしている人、ブーツを好んで履く人に足の臭いが発生しやすいのはこのためだ。ちなみに、この白癬菌は、水虫の原因菌であるため、「水虫菌」とも呼ばれている。